クリント・イーストウッド主演、監督の新作「クライ・マッチョ」の予告編が公開されました。
イーストウッドは、元ロデオスターでいまは落ちぶれた馬のブリーダーとして生活している老人マイク・ミロを演じています。マイクは元上司(ハワード・ポーク)から、メキシコでアルコール依存症の母親と暮らす息子(エドゥアルド・ミネット)がトラブルに巻き込まれているのでテキサスまで連れ戻してほしいと、誘拐まがいとも言える仕事を依頼されます。
メキシコからテキサスに至るまでの道中で少年と老人の交流を描くロードムービーのようですが、イーストウッド作品で老人と少年といえば、東洋人(モン族)の少年との交流を描き非常に高く評価された「グラン・トリノ」があります。今回はメキシコ育ちの少年との交流をどう描くのか注目されます。
原作と主演にまつわる紆余曲折
原作は1975年に出版されたN・リチャード・ナッシュの同名小説。ナッシュはもともとこの物語を映画の脚本として執筆したものの、売り込みに失敗し映画化されなかったため小説として書き直したという経緯があります。
出版された小説は高く評価されたため、再び映画化の話が持ち上がりロイ・シャイダー(ジョーズ)主演で制作が開始されたものの完成には至りませんでした。
さらにその後、アーノルド・シュワルツェネッガー主演で企画が再スタートしたものの、シュワルツェネッガーのカリフォルニア州知事就任や個人的なスキャンダルで企画は頓挫。
映画化が具体化し始めた1988年から、主演としてクリント・イーストウッドの名前も上がっていましたが、その頃イーストウッドはダーティ・ハリーシリーズの撮影が控えていたため出演を見送っています。その後、前述のような紆余曲折を経てけっきょく映画化を実現させたのはイーストウッドでした。
原高齢でも創作意欲が衰えない映画作家たち
日本では、89歳の山田洋次監督が最新作「キネマの神様」を公開したばかりですが、クリント・イーストウッドは91歳で本作を公開します。リドリー・スコット監督は83歳ですが、2021年だけで「最後の決闘裁判」「House of Gucci(原題)」と二本の映画を公開します。
映画監督が特に長寿というわけではありませんが、映画に対する制作意欲が年齢によって衰えないことは間違いなさそうです。いったん長編作品からの引退を宣言した宮崎駿監督でさえ、創作意欲には逆らえなかったのか、現在80歳にして新作「君たちはどう生きるか」の制作に取り組んでいます。
「クライ・マッチョ」は米国で2021年9月16日に劇場公開され、HBOmaxでも同時に動画配信が開始される予定です。
クライ・マッチョ公式サイト:wwws.warnerbros.co.jp