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ディズニー・ピクサー最新作「あの夏のルカ」と宮崎アニメが大好きなイタリア人監督との関係

ディズニー・ピクサーの最新作「あの夏のルカ」(原題 Luca)の予告編が公開されました。
今回の舞台は夏のイタリア、リビエラで、そこに暮らす少年たちの新しい出会いから友情のストーリーが展開していきます。その "少年たち" がどうやら普通の人間ではない、というあたりがいかにもピクサーらしいファンタジックな設定となっています。

監督は「月と少年」のエンリコ・カサローザ。「月と少年」(2011年)は「メリダとおそろしの森」で競映されたピクサーの短編で、アカデミー賞の短編アニメ部門にもノミネートされた傑作です。
エンリコ・カサローザ監督は、20世紀スタジオ傘下のブルースカイ・スタジオで「アイス・エイジ」や「ロボッツ」のストーリーボード(絵コンテ)アーチストを務めたあと、2002年からピクサーに移り「レミーのおいしいレストラン」「リメンバー・ミー」「トイ・ストーリー4」などでストーリーアーチストとして活躍しています。

エンリコ・カサローザ監督とイタリアの強い結びつき

カサローザ監督の出身は「あの夏のルカ」の舞台となっているリビエラ地方のジェノヴァ。20代でアメリカに渡りニューヨークのアート系カレッジでアニメーションを学んでいます。
出身国イタリアに対する思い入れは強く「月と少年」に出てくるキャラクターたちも古風なイタリアの労働者を思わせます。さらに「月と少年」の原題は "La Luna" となっていて、これはイタリア語で月を意味しています。

「紅の豚」にインスパイアされた街の名前

主人公の名前はルカ・パグロー(Luca Paguro)ですが、当初はルカ・ポルトロッソ(Luca Portorosso)に設定されていました。その後、この名前は物語の舞台であるポルトロッソ(Portorosso)の地名へと変更になりました。
この "Portorosso" は、イタリア、アドリア海を舞台としたジブリ作品「紅の豚」の主人公ポルコ・ロッソ(Porco Rosso)から来ていると言われています。この説は、カサローザ監督が熱狂的ともいえる宮崎アニメのファンであることから、その信憑性に疑いはありません。

出典:thedisinsider.com

宮崎アニメを見て育ったエンリコ・カサローザ監督

カサローザ監督がまだイタリアに住んでいたころ、「アルプスの少女ハイジ」や「未来少年コナン」など宮崎駿監督が関わったアニメが放送されており、古くから宮崎アニメには影響を受けていました。
その後、スタジオジブリが設立され宮崎アニメが国際的にもメジャーになるにつれ、カサローザ監督はますます宮崎駿監督を敬愛するようになったようです。
「月と少年」が日本で公開された2012年には来日。三鷹の森ジブリ美術館を訪れ、壁に「月と少年」の主人公バンビーノのイラストとサインを残しています。

出典:紫の豚日記

実はジブリとの関わりはこれ以前にもありました。
2002年、ピクサーは製作スタッフによるメッセーボードを宮崎駿監督に贈っています。この額装された寄せ書きについては、先日スタジオジブリの公式アカウントが写真をツイートして話題となったばかりですが、この中にピクサーに入社したばかりのエンリコ・カサローザ監督が書き込んだメッセージを見つけることができます。ポルコ・ロッソらしきキャラクターが描かれ、メッセージも唯一日本語で書かれています。

ピクサーからのメッセージボード
source: Twitter@JP_GHIBLI

宮崎アニメからの影響

まだ予告編と何点かのイラストが公開されただけで情報が少ない状況ですが、それでも宮崎アニメからの影響が見て取れます。例えば主人公たちが描かれたこのコンセプトアート、「ルパン三世 カリオストロの城」でルパンが城の屋根を飛び移る名シーンの動きにそっくりです。

ルパン三世 「Luna」コンセプトアート

イタリアのファンからはこんなツイートも。少年の服装は「未来少年コナン」のオマージュではないか?との推測がされています。たしかにそっくりですね。

少年たちの出会いと友情を描く本作。どうやらその少年たちが海から来た "シー・モンスター" らしいという点。これでピンときた人も多いかと思いますが「崖の上のポニョ」からの影響を推測してしまいます。
カサローザ監督と「崖の上のポニョ」については、こんなエピソードがあります。カサローザ監督は、宮崎駿監督が「崖の上のポニョ」の絵コンテを水彩画で描いていたことを知り、「月と少年」では自分も絵コンテを水彩画で描いていました。水彩画での絵コンテはピクサーでの従来の手法とは比べ物にならないほど手間が掛かる作業だったため、仲間からはクレイジーだと言われていたそうです。

宮崎駿監督を敬愛し "Miya San" と親しみを込めて呼ぶエンリコ・カサローザ監督が長編アニメとして初めて取り組んだ本作、興味と期待でいまから公開が楽しみです。

追記

「あの夏のルカ」は劇場公開されずDisney+での配信へ

3月23日、ディズニーは一部の映画について公開スケジュールの変更を発表しました。

その中で「あの夏のルカ」はDisney+でのオンデマンド配信となり、劇場公開されないことが判明しました。Disney+での配信方法は「ソウルフル・ワールド」と同様で、プレミアアクセスの追加料金(日本では税込3,278円)は課されません。Disney+のサービスが始まっていない国については、劇場公開されるとのことです。公開日は6月18日で変更はありません。日本での公開もこの発表内容を踏襲することになりそうです。

出典:thewaltdisneycompany.com

追記

日本でもDisney+での公開が決定

Disney+のツイッター公式アカウントが日本での公開方法について、米国同様にDisney+でのオンデマンド配信になることを発表しました。

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