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録画で振り返る米大統領就任式と「Celebrating America」を彩ったエンタテイナーたち

2021年1月20日(現地時間)米大統領、副大統領の就任式が催され、同日夜のゴールデンタイムには「Celebrating America」と題したテレビ特番が放送されました。

今年は直前にトランプ大統領支持者による連邦議会議事堂襲撃事件が起きたことと、コロナ禍の影響で会場となる連邦議会議事堂への立ち入りが厳しく制限され、異例の体制で開催されました。 そのこともあり、今回はテレビ中継に加えてインターネットでのライブ配信が重要な役割を果たしました。
その録画映像を紹介しながら、就任式とテレビ特番に出演したパフォーマーを振り返ります。

国歌斉唱のレディ・ガガが身につけていたもの

レディ・ガガがどのような衣装で国歌を歌うのか注目されていましたが、シンプルでタイトなトップに深紅のフェイルスカートで登場。胸に大きなブローチを着けていることが目を引きましたが、これは聖書に書かれているオリーブの枝を咥えた鳩で希望の象徴でもあります。
ガガのツイートによると「私たち全員が互いに和解しますように」つまり、現在の分断されたアメリカ国民が和解してまた一つとなれるようにとの願いが込められています。

ジェニファー・ロペスの強烈なメッセージ

トランプ政権では、メキシコ国境に壁を作ると宣言して特にヒスパニック(スペイン語)系民族をアメリカから排除する傾向がありましたが、政権交代のまさにそのとき、演壇に登ることになったのがヒスパニック(プエルトリコ)系アメリカ人のジェニファー・ロペスです。そして、歌の終盤にスペイン語で次のようなメッセージを送りました。

" Una nación, bajo Dios, indivisible, con libertad y justicia para todos! "
神の下にあり、すべての人に自由と正義をもたらす分断されない国!

ガガ同様に、分断されたアメリカ国民に対する強いメッセージが込められています。就任式に登壇する歌手の一人にジェニファー・ロペスを選んだことは、バイデン政権の方向性を示すものでもあります。
ジェニファー・ロペスが歌ったのは、ウディ・ガスリーの名曲 "This Land Is Your Land" です。英語が苦手な人でも最初の歌詞からして愛国心に満ちた歌ということが分かるのではないでしょうか。

" This land is your land, This land is my land, From California To the New York Island "
この国はあなたの国、この国は私の国、カリフォルニアからニューヨークアイランドまで…

西部開拓とともに民主主義が確立されていったアメリカを象徴する国民的名曲ですが、これをヒスパニック系のジェニファー・ロペスが歌ったことに大きな意味がありそうです。

トム・ハンクスが司会のCelebrating America

就任式の夜20:30(現地時間)から特番として「Celebrating America」がテレビとインターネットで放送されました。
司会をトム・ハンクスが務めることで話題となっていましたが、今回はコメディアンとしての顔を見せることはありませんでした。アメリカでは、コロナウィルスによる死者が既に40万人(2021年1月現在)を超えており、第二次世界大戦での死者(米国内で29万人)を大きく上回っている状況です。そのためか、トム・ハンクスも黒のネクタイに黒のスーツという服装で追悼を意味しているようにも見えます。

B・スプリングスティーンからスタート

リンカーン記念堂をバックに、まず登場したのがブルース・スプリングスティーン。日本でも有名ではありますが、アメリカでは超スーパースターのロック歌手でありフォークシンガーでもあります。特に労働者階級の機微を歌った曲が多く、その点ではトランプ支持者にも人気があるはずです。

「ボーン・イン・ザ・USA」が空前のヒットを記録したとき、そのタイトルから当時のロナルド・レーガン大統領に「感動した」と称賛されましたが、詩の内容はベトナム戦争に駆り出され黄色人種を殺すはめになったアメリカの若者を歌っている曲であって、的外れな称賛だったという笑えないエピソードがありました。
スプリングスティーンもまた、ウディ・ガスリーの "This Land Is Your Land" を気に入っているようで、ライブではよくカバーしています。

様々なジャンルのミュージシャンが参加

今回のセレブレーションでは、クラシック、ラップ、カントリー、ロックと様々なジャンルのミュージシャンが参加して大統領と副大統領の就任を祝いました。上記に主なミュージシャンと曲名を挙げておきます。
参加ミュージシャンのパフォーマンスは一部を除き、バイデン就任委員会のYouTubeアカウントで録画を見ることができます。

休業状態のブロードウェイスターも参加

アメリカでは、ロサンゼルス、ニューヨークなどの都市部でまだ映画館や舞台劇場が閉鎖された状態にあり、ブロードウェイミュージカルも軒並み休演しています。舞台ミュージカルの関係者は映画業界以上に厳しい状況と言えそうです。そんななか、ブロードウェイのスターたちがリモートで参加した動画が流されました。

曲目はミュージカル「RENT」の "Seasons of Love" に続き、「Hair」の "Let the Sun Shine"が歌われています。出演者についてのクレジットはありませんが、ヴァネッサ・ウィリアムスなどの顔が見えます。詳しくはvulture.comで分析されているので参考にしてください。

トリはケイティ・ペリーで圧巻の演出

これだけ大物ミュージシャンばかりが参加した中でトリを飾ったのはケイティ・ペリー。
政治的な意味合いはなさそうですが、最後にケイティ・ペリーが選ばれた理由は見ればその理由がよくわかります。
歌ったのは2010年のヒット曲「Firework」。詩の内容は自分の殻を打ち破り、花火のように飛び出そう!という人生に対するアンセムソング。コロナ禍で日本以上に深刻な状況にあるアメリカ国民に対する応援メッセージでもあります。

しかしながら、それ以上に演出的な理由があったようです。バイデン就任委員会はツイッターで「サプライズがある」ことをほのめかしていましたが、どうやらそれはこの圧巻ともいえる壮大な花火(Firework)のことだったようです。

日本には古くから、疫病退散の祈念祈願として花火を打ち上げる風習があったようですが、今回の壮大な花火を見るとまるでアメリカ国民がケイティ・ペリーの「Firework」に乗せて疫病退散を祈願しているかのようであり、感動的なフィナーレとなりました。

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