日本でも翻訳本が出版されている「グアンタナモ収容所 地獄からの手記」(原題:Guantanamo Diary)を原作とした映画「THE MAURITANIAN」(原題)の予告編が公開されました。
原作は2002年から13年間、起訴も裁判も行われないままグアンタナモ収容所で拘束され続けたモーリタニア人、モハメドゥ・ウルド スラヒが収容所内で綴った、いわゆる獄中手記が元になっています。 いまでは、世界に悪名が知れ渡ったグアンタナモ収容所ですが、映画でも拷問を伴う尋問など当時の残虐な日常が描かれているようです。その関係か、この映画は米国ではR指定での公開となります。

@NancyHollander_
主役であり、原作の著者でもあるモハメドを「マグダラのマリア」のタハール・ラヒムが演じています。モハメドの弁護士はナンシー・ホランダー。もちろん実在の弁護士で、ジョディ・フォスターが貫禄たっぷりに演じており、予告映像だけでも演技派の実力がうかがえます。
米軍側の検察官役にはベネディクト・カンバーバッチ。ジョディ・フォスターと合わせて演技派同士の共演という豪華なキャスティングとなっています。
監督は「ラストキング・オブ・スコットランド」の社会派、ケヴィン・マクドナルド。主演のタハール・ラヒムとは「第九軍団のワシ」(2011年)でも組んでいます。
オスカーレースのゲームチェンジャー
演技派の俳優陣、社会派の監督、実話を元にしたこれまた社会派の原作という、十分オスカーを狙えそうな条件がそろった本作について、米映画メディアではオスカーレースのゲームチェンジャーになりそうだと綴っています。
ジョディ・フォスターは「告発の行方」と「羊たちの沈黙」で主演女優賞を獲得していて既にオスカー女優。ベネディクト・カンバーバッチも「イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密」で主演男優賞にノミネートされています。監督のケヴィン・マクドナルドは「ブラック・セプテンバー 五輪テロの真実」(2000年)で長編ドキュメンタリー映画賞を受賞しています。
今年はコロナ禍の影響から、特例として2021年2月28日(例年は前年の12月31日)までに公開された作品がオスカーのノミネート対象となります。アカデミー会員による投票は3月5日より開始。そして、この作品はその直前となる2月19日に全米で公開される予定です。狙っていないわけはありませんよね。