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コロナ禍を乗り切る!アカデミー賞が始めた映画ストリーミング配信 "Academy Screening Room" とは?

Academy Screening Room
Source: oscars.org

アカデミー賞のノミネート対象作品は、ロサンゼルス郡で劇場公開されていることが条件となっており、アカデミーはこの規則を長年守り続けてきました。しかし、今年は新型コロナウィルスの影響で映画館は壊滅的な打撃を受けており、現在もロサンゼルスをはじめとして、ニューヨーク、サンフランシスコの映画館はまだ閉鎖された状況にあります。
この状況を鑑み、アカデミー賞を運営する映画芸術科学アカデミーでは、特例としてノミネート条件を放送やストリーミング配信で公開された作品にまで拡大することにしました。

この関連の動きとして、昨年からアカデミーが提供している映画ストリーミングサービス "Academy Screening Room" の活用が挙げられます。
これはアカデミー賞選考のため、選者であるアカデミー会員向けに提供されるサービスで、会員専用アカウントでログインして候補作品を視聴する仕組みです。
具体的には、ChromeやSafariといったブラウザから専用サイトにアクセスして候補作品を視聴する方法。また、AppleからはApple TVとApple TV 4k用アプリとして Academy Screening Room が提供されており、 Apple TVでの視聴も可能となっています。もちろん、これらのストリーミングサービスはアカデミー会員専用であるため、一般からの視聴はできません。

受賞作品の選考では、これまでも候補作のDVDをアカデミー会員へ配布する方法がとられており、現在は Academy Screening Room と併用する形で視聴機会を提供しています。
しかし、アカデミーではDVD配布よりAcademy Screening Roomでの作品提供(視聴)を推奨しており、特に北米に配給会社を持たない外国映画にとっては有効な方法としています。
選考用のDVDについては、これまでも映像が流出し海賊版に転用されるなどの問題が起きています。そのため、コピーが容易なDVDより、著作権保護がより強固なストリーミングサービスに移行したいとの思惑もあるようです。

Academy Screening Room で配信される作品には FORENSIC WATERMARKING と呼ばれる電子透かしが組み込まれており、ブロックチェーン技術を併用することで映像が流出した場合でも流出元を追跡できる仕組みとなっています。
DVDのコピーガードは、1999年に15才の少年によって破られてしまいましたが、 FORENSIC WATERMARKING は映像コンテンツから電子透かしを除去することがほぼ不可能な仕組みであるため、非常に堅牢な著作権保護技術といえます。

新型コロナウイルスの影響で映画館での興行が著しく低下した2020年ですが、このような方法を持ってしてでも、歴史あるアカデミー賞はぜったいに中止にしないという、ハリウッドの強い意思がうかがえます。

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